第1子を出産後、当院の保育室に魅かれて准看護師として入職して以来、25年以上働く中で第2子、第3子も授かりました。仕事と育児を両立する中で看護師資格やケアマネージャー資格を取得し、2023年より看護部長に就任しています。

初めて働いたのは家庭的な個人病院で、1年目に担当したがん患者様との思い出がずっと心に残っています。その方は新人の私を娘のように温かく見守り、よく声をかけてくれていた方でした。

その日、いつも通り朝の挨拶のために病屋に伺うと、その患者様がテーブルにもたれかかって「苦しい、苦しい」」と肩で呼吸をしていました。いつもと全く違う様子に戸惑いながらもすぐに先輩を呼び、その方の背中をさすり続けましたが、亡くなるまで苦痛をとってあげることはできず、ご家族と一緒に最期の瞬間に立ち会い、子どものようにわんわん泣いた記憶があります。

初めての看取りでした。その後、師長に呼ばれて「あなたはあなたができる限りの看護をしたの？」と聞かれた時、「はい」とは言えなかったことも悔しかったです。

師長からは、「今後も患者様とのお別れは経験するものよ。その時に『ああしておけば良かった』と後悔しないよう、日々の看護をしていきなさい」とアドバイスされ、今日までその言葉を胸に患者様と向き合っています。

新人時代は看護技術の習得ばかりに気を取られてしまいがちですが、「日常生活援助の質」もとても大切です。この質は、看護師として経験を積めば積むほど重要になり、その人自身の「人間力」と直結するものだと感じています。

人間力とは、日頃の行動や他者との関わりの中で磨かれていくものなので、仕事以外で多くの経験を積み、いろいろな人と出会い、豊かな人生を歩んで欲しいと思っています。