高校卒業後、保育士を目指して栃木県から上京したものの、「この道は私に合わない」と、専門学校を辞めてしまいました(苦笑)。厳格な家庭で育ったので、「挫折した者は田舎に戻ってくるな」と、両親に一喝され、自分で生活するために辿り着いた先が、寮完備の大学病院の看護補助の仕事だったんです。そこで出会った上司は心から尊敬できる方で、「若いうちに、看護師の資格を目指しなさい」と勧められ、言われるがままに挑戦しました。自分が看護師になるとは夢にも思いませんでしたが、働くうちに看護が大好きになって、結婚して2人の子どもを授かった後も、現場が忘れられずに復帰したんです。その上司との出会いがなかったら、今の私はいないと思います。
ええ。新人時代のプリセプターも、厳しさの中に優しさがある方で、私の成長を真剣に考えてくれました。知識を振り絞って必死に考えた看護計画を、「あなたの計画には患者様がいない」と突き返されたことがあり、当時はひどく落ち込みましたが、今思うと、はっきり言ってもらえて良かったと思います。新人時代の私の看護計画は、疾患の視点のみで、患者様の生活状況や価値観などを無視したものでした。看護計画は、教科書を見ただけでは作れません。患者様の全体像を把握することが何よりも大事ですから、コミュニケーションの中で情報を集めたり、他職種の意見を聞いたりしながら、目の前の患者様にとって何が必要なのかを理解しなければいけないんですよね。
「人の命は尊い」からこそ、命と向き合う看護の仕事は、楽しいだけではありません。でも、笑顔で看護をした分、笑顔が返ってくることが多く、成し遂げた時の感動はひとしおです。看護師として仕事をする日から、「看護のプロ」であることを自覚して欲しいですし、今持っている知識・技術を思いっきり発揮して欲しいと思います。仕事を続ける上で、越えるべきハードルはいくつもありますが、そのサポートを職場全体で惜しみなく行っていくので、チャレンジを恐れず、前向きに仕事に取り組んでください。