患者様・ご家族との心のつながりを大切に。
看護の道を志したきっかけは、19歳で初めて入院を経験した時に支えてくれた、医師や看護師との出会いです。自分も困っている人を助けたいと、退院後に看護学校に進学し、当院に勤務するまで2つの急性期病院を経験しました。
2つ目の病院で管理職として忙しい日々を送っていたときに病気をしまして、働き方を見直したいと考えるようになった時、ご縁があって当院の副看護部長として入職することになりました。8カ月後には看護部長に就任して、それから10年経ちます。
入院や病気は不運と捉えがちですが、私はそれらを経験していなかったら、看護師という素晴らしい職業にも、最高の職場である当院にも出会えていなかったことでしょう。
私が新人の頃は「見て覚える」の時代ですから、基礎を理解していないがために失敗した経験が多々あります。例えば、オペ室の準備をする中で、オペ台と麻酔器の配置の基本を理解しておらず、自分なりのやりやすさを考えて配置したところ、麻酔科医に「川野さんにはいろいろな経験をさせられる」と笑われたことがありました。そういった失敗や悔しさが成長の原動力となり、「患者様のためにもっと頑張りたい!」という気持ちになりました。
数年後、人工呼吸器管理を深めるために呼吸療法認定士資格を取得したのですが、専門スキルを身に付けて以来、医師から評価していただくことや、患者様に感謝の言葉をいただく機会が増え、やりがいを生み出すのは自分次第なんだということを実感してきました。
看護師は、患者様やご家族から学ぶことがとても多いです。新人時代は手技に意識が行きがちですが、「心のつながり」や「信頼できる人間関係」があってこその看護です。
例えば、院内でご家族を見かけたら、「今日は起きている時間が長かったですよ」「昼ごはんは自分で半分食べられましたよ」など、一言でもいいので声をかけましょう。そうすることで、「ちゃんと見てくれてるんだ」とご家族は安心し、信頼関係が生まれていきます。